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IRC×事業承継・M&A支援
STORY03

OUTLINE

IRC×事業承継・M&A支援
全国的に深刻化する後継者不足問題と、AI、IoTなどの技術革新による競争環境の変化で企業の経営課題は多様化・複雑化している。
こうした課題をより専門的・迅速に解決するべく岩手銀行グループのコンサルティングエキスパートとして誕生したのが「いわぎんリサーチ&コンサルティング(以下IRC)」だ。
今後ますます需要が高まる分野で活躍するメンバーに、事業承継・M&A支援への思いを聞いた。

PROFILE

いわぎんリサーチ&コンサルティング
髙橋 洵
2015年入行。八戸営業部、花巻西支店で法人の融資業務に携わる。2021年より日本M&Aセンターへトレーニー派遣。2022年よりIRC事業承継支援部・コンサルタント。
髙橋 洵
いわぎんリサーチ&コンサルティング
佐々木 太治
2008年入行。材木町支店、岩泉支店などで融資渉外担当として経験を積みながら、1年間本部のアカウントマネージャー制度を活用。その後、日本M&Aセンターにトレーニーとして1年間派遣。2022年よりIRC事業承継支援部サブマネジャー。
佐々木 太治

始動

老舗酒蔵が決断した
成長戦略のためのM&A

帝国データバンクの2020年動向調査によると、岩手県内の企業における後継者不足率は69%にのぼる。また同機関の全国「社長年齢」分析調査でも、都道府県別で岩手県の62.1歳が第2位。これだけを見ても、県内の後継者不足問題は地域社会の発展において避けては通れない課題である。岩手銀行でも、事業承継やそれに伴うM&Aなどの相談件数は年々増加。こうした拡大するニーズに対応し、より専門性を持った経営支援を行うべく設立されたのが「IRC」だ。

「創業1772年の老舗酒蔵A社が、M&Aを検討する会社を探している」と最初に営業店担当者から話を受けたのは2019年春。「IRC」の前身となる子会社「いわぎんコンサルティング」が設立される前の出来事だ。現存する岩手県最古の酒造として実直な酒造りを続けてきたが、近年の市場ニーズの変化に対して、設備の老朽化や人的努力での品質向上に限界を覚えたための決断だった。「A社社長と数十回にもわたる面談内容を記録した当時の資料を見返すと、決して消極的な選択ではなく、多様化する消費者の需要に応え、これからもっと良い酒造りをしていきたいという前向きな成長戦略であることが分かりました」と高橋は語る。託された思いを胸に、「社長の思いを共有し、相乗効果を生み出せる相手を探す」という使命のもと、岩手銀行グループによるM&A支援はスタートした。

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対話

異業種からの名乗りで
慎重に議論を重ねる

M&Aは、よく「結婚」に例えられることが多い。譲渡する側、譲り受ける側、どちらも同じ熱量で、手を携えて未来へ進む覚悟が必要であるからこそ、「運命の相手」と出会うのはそう簡単なことではない。「IRC」M&Aチームの総力を挙げて、所有する数多くの買収ニーズ情報の中からA社のM&A候補としてマッチしそうな企業をリストアップし、アプローチした。その中で、A社の買収に興味を示す企業が現れる。それは意外にも、岩手県内を中心にアミューズメント施設経営や飲食事業、ドローン事業、メガソーラー事業等を展開しているB社だった。

B社は以前から事業の多角化を進める中でM&Aを検討していた。そんな折、「IRC」から紹介されたA社には、B社にはない長い歴史と老舗のブランド力があった。さらに、消費者ニーズに応えることによって今後の伸び代も十分にあると考え、M&A候補に名乗りを上げたのである。「最初にA社に提案した際には、別業種のB社と組む相乗効果がなかなか思い浮かんでいないようでした」。しかし佐々木には、この「出会い」が両者にとって良いものになるという確信があった。「B社の遊技場経営は、言い換えれば究極のサービス業です。ユーザーのニーズに応えるノウハウを持つB社と手を携えることで、A社も得られるものが大きいと思いました」。何度も対面の機会を設け、経営に対する考え方や、今後の方針を話し合いながら、議論は一歩ずつ前に進んでいった。

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決意

成約式で伝えられた
両社からの感謝の言葉

紆余曲折を経て、両社はM&Aに合意。ついに迎えた成約式の日、岩手銀行に関係者が集まった際、両社社長から「IRC」に対し、「本当にいいご縁をサポートしてもらえた」と感謝の言葉があった。「M&Aは一筋縄ではいかないことの方が多く、我々は間に立つ身として苦労することもあります。ですが、こうして両社ご納得いただいて、『ありがとう』のお言葉をいただけた時は代えがたい喜びを感じます」と佐々木は当時を振り返る。

その後、老舗酒蔵は日本酒の新たな製造拠点を雫石町に新設。安定した品質の日本酒を通年で製造できる体制が整いつつあるという。M&Aはゴールではなくスタートであり、両社の本当の挑戦はこれからだ。高橋は今後の展望をこう語る。「M&Aという手法を使って企業の存続と発展に寄与し、経営理念でもある『地域社会の発展に貢献する』ことができるよう、業務に励みたい」。岩手の未来を担う「IRC」が紡ぐ新たな物語は、もう動き始めている。

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