「2050年カーボンニュートラル」。SDGsにつながるこの目標を我が国が表明したことによって、再生可能エネルギー普及への取り組みは一気に加速した。とりわけ土地面積が広く、再生可能エネルギー電源の適地が多い東北は、多くの再エネ開発が進む注目のエリアである。再エネ開発には大規模な融資と緻密なリスク管理が必要となるが、銀行のストラクチャードファイナンス担当として、その役割を果たしているのが佐々木だ。現在進行系で地熱発電所や風力発電所などの再生可能エネルギー発電所に対するプロジェクトファイナンス実行を手掛けている。
「融資実行を実現させる肝は、プロジェクトにかかるリスクを徹底的に管理すること」、そう佐々木は話す。プロジェクトに関わるのは、事業会社(借入人)だけではない。建設会社や保険会社、設備の運営・維持管理のオペレーター、弁護士など多岐にわたり、何らかの理由で売電収入が見込めなくなった場合や、イレギュラーが起きた場合のリスクをどこに依拠させるのか明確にしておく必要がある。そのためには、プロジェクトの本質をしっかりと理解した上で、各所で交わされる契約書を読み込み、リスクの分析・洗い出しを行うことが大切だ。案件にもよるが、多いもので150~200ページほどの契約書を30件以上精査することも珍しくない。